全国学校給食週間での取り組み|特集コラム

特集コラム
全国学校給食週間での取り組み


1月24日から1月30日は、全国学校給食週間です。私の学校では、学校給食の歴史を伝える取り組みをしています。今回のコラムでは、学校給食の歴史を振り返りながら、実際に全国学校給食週間で行った取り組みをご紹介していきます。

 

 
 

●学校給食の歴史

まずは、学校給食の歴史と全国学校給食週間の始まりについて振り返ってみましょう。
学校給食の発祥は、明治22年山形県鶴岡町(現鶴岡市)の私立忠愛小学校とされています。その後、学校給食は都市部を中心に広がりましたが、戦争の影響などにより中断されてしまいました。
 
戦後、食糧難による児童の栄養状態の悪化を背景に、学校給食再開を求める声が高まり、昭和21年6月にアメリカの「LARA」というアジア救済公認団体からの救援物資の寄贈を受け、昭和22年1月から学校給食が再開されました。その年の12月24日、東京都内の小学校でLARAからの給食用物資の贈呈式が行われ、以来この日は「学校給食感謝の日」と定められました。そして昭和25年以降、文部科学省は、学校給食による教育効果を促進する観点から、冬季休業と重ならない1月24日から1月30日までの1週間を「全国学校給食週間」としました。

 
 
 

●全国学校給食週間で提供した献立を紹介

全国学校給食週間には、毎年各学校でさまざまな取り組みが行われています。
私の勤務する学校では、全国学校給食週間に学校給食の歴史を振り返る献立を提供することが大きな特徴です。今年も「昔献立」として、トップの写真にある「ソフト麺カレーソース」と「鯨の竜田揚げ」を提供しました。昔献立では、完全給食が始まった昭和20年後半から昭和40年頃に提供されていた給食(コッペパン、鯨の竜田揚げ、揚げパン、ソフト麺など)を再現するケースが多いです。「揚げパン」のように今でも提供しているものもありますが、「鯨の竜田揚げ」は学校給食週間でしか提供できない特別なメニューとなっています。鯨は年に一度しか給食で提供しないのと、見た目の色の濃さから生徒には抵抗があるかなと思ったのですが、小学生の時からいろいろなバリエーションで食べている好きな献立の一つのようでよく食べてくれます。生徒はもちろんですが、当時食べていた教職員からも喜ばれるメニューです。日本では昔から鯨を食べる文化があるので、給食で食べる機会を作れるのは、貴重だと感じています。
 
「昔献立」の他には、ご当地献立を提供しています。学校のある東京都は、江戸として栄えていた都市部から山間部、島まであるので、さまざまなご当地献立を楽しむことができます。江戸にちなんで海苔の佃煮やちゃんこを、島にちなんで島の明日葉を取り寄せて島の学校のレシピを使ったあえ物を提供したり、山間部で育った銘柄豚の東京Xで豚丼を提供したこともありました。
また、家庭科や給食委員会の児童生徒が考案した献立をアレンジして提供したり、教科と連携して授業で取り上げた話題に関連する献立を提供する場合もあります。

 
 
 

●全国学校給食を通して

全国学校給食週間で行うさまざまな取り組みによって、私たち栄養士自身も学校給食の意義や役割を再認識することができます。また、取り組みを行うには、献立作成のために食材や料理の背景を知ることや、それらに教育的意義をもたせて児童生徒に受け入れやすい献立にする工夫が必要になります。そのため、取り組みを毎年継続することは、毎日の学校給食の充実にもつながると感じています。
 
これからも、全国学校給食週間の取り組みを通して、児童生徒の給食への感謝の気持ちや、食に対する意識を高められるようにしていきたいです。

 
 
 

参考文献

・文部科学省:「全国学校給食週間について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1299359.htm 
・全国学校給食連合会:「学校給食の歴史」
https://www.zenkyuren.jp/lunch/
・学校給食編集部:「特集1 創刊800号記念 給食の昔と今 学校給食法」『学校給食』、2021年 第72巻7号、p .31

 
 
 

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