抑えておくべき食物アレルギーの最新情報 基礎編|特集コラム

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抑えておくべき食物アレルギーの最新情報 基礎編


近年増加し続ける「食物アレルギー」。食物アレルギーやアナフィラキシーの対策は、この20年余りで大きく進歩しました。今回は、食物アレルギーついて最新情報をお伝えします。

 

 
 

●食物アレルギーとは?

食物アレルギーとは、『食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象』のことをいいます。簡単にいうと、ある食べ物に対して、それを食べたり、触ったり、吸い込んだりして体の中に入った時に、湿疹やくしゃみ、咳などの症状が現れる状態です。
 
また、症状には再現性があり、1回食べただけで口の周りに発赤が出たからといって、食物アレルギーとは判断できません。医師が実際に食べた食品の内容を問診し、血液検査で特異的IgE抗体検査や皮膚プリックテストによって確認することで推測できます。正しい診断をするためには、食物経口負荷試験が基本になります。

 
 
 

●食物アレルギーの分類

食物アレルギーはいくつかの臨床型に分類されます。
 
 ①食物アレルギーに関与する乳児アトピー性皮膚炎
 ②即時型症状
 ③食物依存性運動誘発アナフィラキシー
 ④口腔アレルギー症候群
 
「即時型症状」の食物アレルギーが、最も典型的なタイプになり、原因食物摂取後2時間以内にアレルギー反応による症状を示すことが多いです。

 
 
 

●年齢別新規発生の原因食物

食物アレルギーの原因物質であるアレルゲンは、主に食べ物に含まれるタンパク質になります。原因となる食物は、鶏卵(34.7%)、牛乳(22.0%)、小麦(10.6%)が多いです。
年齢別新規発生の原因食物は、0歳児では鶏卵、牛乳、小麦の順に多く、1、2歳児では鶏卵の次に魚卵類、木の実類が多くなります。3~6歳では、木の実類、魚卵類、落花生の順に、7~17歳は果物類、甲殻類、木の実類の順に多く、加齢に伴って食物アレルギーの原因が変わっていくという特徴があります。
 
年齢ごとに有症率は異なり、乳児で最も高いですが、乳児期に多い鶏卵、牛乳、小麦などは耐性を獲得していくことから、小学校入学前までに治ることが多いと報告があります。

 
 
 

●抑えておくべき関連ガイドライン

食物アレルギーやアナフィラキシーの対策は、ここ20年で大きく進歩しました。アレルギー物質を含む食品表示が始まり、エピペンは保険適用となりました。診療ガイドラインや手引きもどんどん改訂されています。
例えば、昔は食物アレルギーになりやすい食品の摂取開始を遅らせることが望ましいと考えられた時期もありましたが、離乳食の開始を遅らせることで食物アレルギーの発症リスクが予防できる十分な証拠はなく、離乳食の開始を遅らせることは推奨されていません。(※日本小児アレルギー学会「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」)
情報過多の時代、信頼できる配信元の最新の情報をチェックすることが大切です。
 
特に給食管理においては、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン2019年改訂版(厚生労働省)」「学校給食における食物アレルギー対応指針 平成27年3月(文部科学省)」は抑えておくべき大事なガイドラインになります。
どちらのガイドラインにおいても、食物アレルギー対応の基本原則について記載されています。ガイドラインをよく読み、理解を深めていただけたらと思います。
 
また、下記のサイトではアレルギー疾患の知識習得や自己管理に役立つさまざまなリーフレットやガイドラインなどがダウンロードできます。参考になさってください。
東京都アレルギー情報navi.(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/allergy/)
アレルギーポータル(https://allergyportal.jp/)

 
 
 

●まとめ

保育所に通う親御さんの中には、食物アレルギーと診断されると過剰に心配してしまい、原因食物以外の食品まで除去される方も少なくありません。例えば、鶏卵アレルギーであるのに、鶏肉も食べてはいけないと認識される方もいらっしゃいます。
「念のため」「心配だから」という理由で本来必要のない食品まで食物除去をしてしまうと、子どもの成長に必要な栄養素が不足してしまうこともあります。不必要な除去をしていることが疑われる場合は、保護者の不安な気持ちを受け止め、正しい情報を助言し、主治医に再度確認しいただくようお願いしていくことが大切です。
 
 
次回の応用編では、実際の食物アレルギー児を受け入れる際の対応方法についてお話しさせていただきます。

 
 
 

参考文献

・食物アレルギー研究会⽇本医療研究開発機構平成30年度免疫アレルギー疾患等実⽤化研究事業/重症⾷物アレルギー患者への管理および治療の安全性向上に関する研究/研究開発代表者 海⽼澤元宏「食物アレルギーの診療の手引き2020」
・日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2021」
・厚生労働科学研究班による「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017」
・監修:海老澤元宏 編集:今井孝成、高松伸枝、林典子 「食物アレルギーの栄養指導」、医歯薬出版株式会社(2018年8月1日)

 
 
 

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