食への興味を引き出す工夫を施した食育 ~今井保育園の食育活動を紹介~|特集コラム

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食への興味を引き出す工夫を施した食育 ~今井保育園の食育活動を紹介~


東京都青梅市にある今井保育園は、70年以上の歴史がある認可保育園です。
大きな特徴としては、歴史はありますが先進的な面もあり、園長先生が積極的にIT設備を整えてくれていて、施設のIT設備が非常に充実しているところです。(タブレット・PC職員一人一台配布、各保育室に専属タブレット完備、業務ベースも紙媒体から電子へ移行済)
また、保育園業界では珍しく管理栄養士1名・看護師2名が在職しています。食育・栄養・保健衛生のレベルが高いのも大きな特徴です。(青梅市内の認可保育園では管理栄養士が3名在職しており、その内男性管理栄養士が在職しているのは市内では当園のみです)

 


 
 

今の食育の根拠はなにか

今の食育の根拠は大きく2つあります。各指針よりポイントを抜粋して紹介します。
 
●厚生労働省「保育所保育指針」2017
 保育所における食育は健康生活の基本として【食を営む力】の育成に向けその基礎を培うことを目標とすること。
 
●厚生労働省「楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~」2004
 目指すべき子どもの姿5つ
 ・お腹が空くリズムのもてる子ども
 ・食べたいもの、好きなものが増える子ども
 ・一緒に食べたい人が増える子ども
 ・食べ物を話題にする子ども
 ・食事作り、準備にかかわる子ども

 
 

今井保育園の食育

今井保育園では、基本的に上記指針に沿って食育に取り組んでいます。今回は、数ある取り組みの中の一部をご紹介します。
 

●日常生活の中に溶け込む給食室
厨房は保育室と隣合わせになっていて、ガラス扉や大型ガラス窓越しに調理風景が自然と園児の目に入る仕組みになっています。また、園児が覗きやすいように、厨房内を保育室より20cm程低く設計してあるところも工夫点です。
日常の中に調理風景が溶け込むことによって、自然と食に興味を向けさせており、園児たちが「今日のごはんは○○だよ」「やったー、楽しみだね」「僕もご飯作っているとこ見たから知っているよ。果物は○○だったよ」など、自然と食べ物の話をする仕組みを作っています。

 


 
 

●園児の心をつかむミールラウンド
毎昼食時にミールラウンドを行っています。いろんな研修会でもミールラウンドの重要性は説明されていますが、それと同じく実施困難な話も聞きます。これは保育園ならではだと思いますが、保育士と栄養士が連携不足なため保育室に栄養士が入りづらい、または単純に厨房の人数が不足しているため、ミールラウンドに行く余裕がないなどが大きな理由かと思います。
ミールラウンドは実際に食べている生の声を直に聞けるため、率先して介入したいところです。今井保育園ではミールラウンド時にタブレットやマペットなどの道具を使用し、視覚からも興味を引き付ける工夫をしています。また、イラストを提示して料理に使われている食材の説明をしたり、よく噛むことの大切さを伝えています。
私は前職、大学病院で勤務しており、栄養指導の度に大人になってからの早食いや噛む回数の改善がどれだけ大変かを痛感しました。これらを未然に防ぐためにも、幼少期からの声がけが重要だと思っています。

 


 
 
 

まとめ

数ある食育の中でどれを選択して実施するかが、それぞれの保育園の特徴になります。
今井保育園の食育はガイドラインやエビデンスに沿って計画、実施しており、誰に対しても自信を持って正しく説明できるのが強みだと思っています。
しかしながら一部の栄養士だけがそのように考えていてもいけません。保育指針にある【食を営む力】を最大限育成するためには、実際に現場で活動する保育士の先生方の協力は必須であり、その橋渡しとして知識がある管理栄養士が活動することが大切です。それこそが保育園で管理栄養士が働く理由になるのではないかと日々感じています。

 


 

参考

・厚生労働省:「保育所保育指針」(2017)
・厚生労働省:「楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~」(2004)

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