特集コラム
給食で季節感を演出する~冬~
本コラムでは「食材」「お便り」「盛り付け」「行事」から季節感を演出する方法をご提案します。今回は煮込み料理や鍋料理などこたつで温かい料理が食べたくなる季節、冬の演出についてです。
冬の食材を使って
白菜、ほうれん草、大根といった冬に旬を迎える野菜。寒さで凍ることがないよう、細胞に糖を蓄積するため糖度の高い野菜が多く、食べたときに甘くておいしいと感じやすいのが特徴です。これらの野菜は汁物や煮物に使いやすく、寒い季節の給食にぴったりです。また、みかんやりんごなどの果物も、冬らしさを演出するのに効果的です。
旬の食材を通じて、子どもたちや患者さん、利用者の皆さんに季節を感じてもらうことができます。食材と合わせて、掲示物やお便りで「旬の野菜の紹介」や「冬に食べたいおすすめメニュー」などの情報提供をすると、食育にもつながります。
冬のお便りづくりのポイント
冬は風邪やインフルエンザが流行しやすい季節です。しっかりと食べて健康管理をすることや、抗酸化作用を持つカロテンやビタミンCが豊富な野菜の紹介をお便りに盛り込んでみてはいかがでしょうか。また、冬至に向けて「かぼちゃを食べる意味」や「ゆず湯」など、昔ながらの風習を取り上げるのもおすすめです。さらに、クリスマスやお正月など楽しい行事も多いため、それらに合わせたレシピやメニュー紹介も喜ばれます。
餅つきの由来や、正月料理の意味を子どもたちに伝える工夫もよいでしょう。雑煮の地域性をテーマにするのも、コミュニケーションのきっかけとなります。
冬の盛り付けのポイント
冬の盛り付けは「温かみ」がポイントです。赤や橙、深緑などの温かみのある色合いのランチョンマットや食器を取り入れると、寒い日にも心がほっとします。雪の結晶や雪だるまなどをあしらったメッセージカードを添えると、冬らしく楽しい雰囲気が演出できます。
スープやグラタン、シチューなど「湯気の立つ料理」も、見た目から温かさが伝わり、食欲をそそります。
冬におすすめ行事食~クリスマス・お正月~
年末年始は冬至にクリスマス、大晦日、お正月と行事食のラッシュです。特に高齢者施設や病院などの外出が難しい方にとっては、年末の行事食が一年の終わり感じさせ、新年を迎える準備となり、大切な節目と考えられます。
クリスマスメニューでは、星型にんじんを添えたハンバーグやツリー型サラダ、いちごやホイップクリームを使った赤と白のサンタを連想させる彩りなど、見た目にも楽しい演出が人気です。また、お正月には黒豆や紅白なます、昆布巻きなどのおせちの伝統食材を取り入れた給食を用意すると、年始らしい華やかさと日本の文化継承の場となります。
しかし、お餅は高齢者や乳幼児には十分注意が必要です。飲み込みの力が弱い方向けの軟らかい餅も市販されているので、安全に配慮しおいしく行事食を楽しみましょう。
寒さが厳しい冬ですが、「温かい食」「楽しい食」「季節を感じる食」を工夫することで、心も体も温まる時間を提供できます。食は日々の健康だけでなく、心の豊かさにもつながる大切な文化です。冬ならではの工夫を取り入れて、温かいひと時を演出してください。
参考文献
・農林水産省:「の食材」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/attach/pdf/inbound29-6.pdf(閲覧日:2025年7月24日)
・農林水産省:「地域で違う餅の形」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2001/spe2_02.html(閲覧日:2025年7月24日)
・農林水産省:「冬に旬を迎える野菜って?」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1912/spe2_01.html(閲覧日:2025年7月24日)
このページに関連する情報はこちら



