特集コラム
【年末年始の給食】イベント食での食材価格高騰に対する現場の工夫
年末年始はクリスマスや年越し、お正月などイベントが目白押しです。最近は食材価格高騰の影響もあり、今年のイベント食の献立作成に苦労している方も多いのではないでしょうか。
そこで、実際に給食現場で働いている管理栄養士の皆さんが、年末年始のイベント食の献立作成においてどのような工夫をしているのかお話しを伺いました。
◇参加管理栄養士
・保育園管理栄養士:経歴5年、調理、栄養管理、食育、食事相談
・学校管理栄養士:経歴14年、学校給食の栄養管理・運営に関する業務
・病院管理栄養士:経歴15年、栄養・献立管理、栄養指導、NST
・高齢者施設管理栄養士:経歴15年、栄養・献立管理、調理レクリエーション企画実施、食事相談
・事業所管理栄養士:経歴3年、献立作成、発注、店舗運営に付随する業務
年末年始のイベント実施状況と食材予算について
年末年始のイベント実施状況とイベントに対する食材費の予算の考え方を教えてください
保育園:12月、1月はクリスマス会や餅つき大会などのイベントが増えますが、食材費は通常通りで年間を通して予算内に収めるようにしています。
学校:12月にクリスマス会があります。年末年始は冬休みで給食の提供がないため、特にイベントはありません。食材費は年間を通して予算内に収めるようにしています。
病院:他の月と比べるとイベントは多いです。食材費は基本的に変わりませんが、1月は他の月よりも食材費が高くなってしまってもある程度は仕方がないと考えています。
高齢者施設:通常よりもイベントの回数は多いですが、特別に食材費を高く設定するなどはしていません。基本的にはいつもの食材費の範囲内で運営をしてもらい、どうしても予算をオーバーする場合には委託業者さんから相談があるので、施設側としてオーバーした分の食材費を負担しています。
事業所:クリスマスに特別メニューを提供していて、食材費は受託先から補填していただいてます。
年末年始の献立作成、発注・予算管理でのお困りごと
年末年始の献立作成や発注・予算管理でのお困りごとを教えてください
保育園:クリスマス会などのイベント食では、洋食中心に提供します。見た目は華やかなので喜ばれますが、食べ慣れないメニューのせいか残菜が多いのが悩みです。
学校:食材費の高騰が相次ぎ見通しが立たない中、どの程度イベント食に予算を掛けてよいのか悩みます。既製品の高価なデザートを使用してしまうと、毎年提供されると期待されてしまうので、後々を考えて提供しないと不満につながってしまうこともあります。
病院:年末年始は食材の販売店が休み入るため、発注の前倒しの必要があり、食数の確定が難しいです。正月向けの食材の締切りは商品によって2~3ヶ月前のものもあるため、献立全体の決定も早めに行う必要があります。
高齢者施設:元旦は朝食も昼食もお正月メニューを提供したいところですが、予算と厨房の人員確保の関係で、昼食にしかお正月メニューが提供できていません。
事業所:クリスマスの特別メニューの提供が今年で4回目になるので、メニューのレパートリーがなくなってきていて困っています。
年末年始の献立作成、発注・予算管理での工夫
食材発注の締切が通常よりも早かったり、年末年始しか使用しない高価な食品があったりと献立作成や発注・予算管理が難しいと思いますが、食材費を抑えるためにしている工夫について教えてください
保育園:年末年始は保育所も休みにはいるため、給食の提供がありません。年始は4日からですが、預ける園児が少ないため、麺類やカレーライスなど調理が簡単で人数調整がしやすい献立にすることで食材の廃棄などが出ないような工夫をしています。
学校:学校も年末年始は休みのため、給食の提供がありません。年末年始に限らず食材の価格高騰で食材費予算が厳しい状況にあるため、特売日を使用するなど、日常的にコストを意識して発注するようにしています。
病院:食材費を抑えるために、現場の提供可能な範囲で既製品から手作りにするなどの工夫をしています。
高齢者施設:予算内で収めるために高価な食材の使用を減らす可能性があります。例年は1月2日、3日にもちらし寿司やすき焼きなど少し手の込んだメニューを提供していましたが、1日のおせちの食材費がどのぐらいになるかによって、献立の見直しを行う予定です。
事業所:当事業所はクリスマス以外では行事食を出さないため、年末年始に限った困りごとは特にありません。ただ、全体的に食材が高騰しているので、定期的に業者間での価格比較を行ったり格安商品を積極的に使用したりして食材費を抑える工夫をしています。
2023年の年末年始の対応状況と2024年の対策について
価格高騰に対して2023年の年末年始に実施したことと、2024年の対策について教えてください
保育園:発注数を微調整したり、在庫管理をシビアに行ったり、地場食材を積極的に使用してコストを抑えました。今年も昨年同様にしたいと思います。
学校:給食が無償化になったので、欠席生徒分の食数管理を徹底しました。今年は欠席生徒分の食数管理の徹底だけでなく、価格比較を都度行い対策したいと思います。
病院:昨年は八幡巻など手作りできるものは手作りにしてコストを抑えました。今年はあまり高くない食材を使用し、調理方法や盛り付けなどで特別感が出る工夫をしたいと思います。
高齢者施設:予算をオーバーした分は施設側が負担したので、具体的な対策とはいえないかもしれません。今年はできるものは手作りにして食材費を抑えることを提案していますが、委託側からなかなか良い返事がもらえていないのが現状です。
事業所:提供量を減らしたり、安価な食材に内容を切り替えたりして対応していました。今年はクリスマスメニューを再度調査し、マンネリ化しないようにしたいと思っています。
年末年始の行事食で役立ちそうなカゴメ業務用商品について
カゴメさんの業務用商品で年末年始の行事食やイベント食で活用できそうな商品があれば教えてください
保育園:トマトピューレーは煮詰める手間がなく、旨味が濃く発色がきれいなのでイベントに限らず使用しています。トマト煮などクリスマス向けの献立に活用できると思います。
学校:トマトピューレーはトマト煮やスープで日常的に使用していますが、クリスマスのイベント食にはいつも以上にクリスマスカラーを意識して使用する予定です。
病院:にんじんやかぼちゃなどの冷凍野菜ピューレーをポタージュスープとして活用できると思います。カゴメさんの野菜ピューレーは発色がよく食感が滑らかなのでとても使いやすいです。その他、トマトピューレーやトマトソース、冷凍イタリア産グリル野菜などもクリスマスメニューに使用できると思います。
高齢者施設:「野菜生活100」を使ったゼリー寄せを検討しています。
事業所:冷凍イタリア産グリル野菜は色がカラフルで華やかなのでクリスマスメニューに使いやすいと思います。
まとめ
どの業態においても年末年始はいつもよりもイベントが多く、食材費が高くなってしまうことはある程度避けられないようです。
皆さんからお話を伺って、実際の現場では食材費を抑えるためには手作りを多くしたり、食数管理をシビアに行ったり、業者間での価格比較を行ったりとさまざまな工夫をしてコスト削減に取り組んでいるということがわかりました。
食材費高騰は今後も続くと思いますので、今年の年末年始に向けて今回のインタビューを参考にしていただけると嬉しいです。